不思議なお話No40 日本人の特殊性U 

 

 今回はちょっと話題を変えます。以前「思議なお話NO29 日本人の特殊性T」で紹介した日本人の脳の特殊な働きについての話の続きです。まだお読みでない方は是非ご一読をお願いいたします。でも面倒だと言う人もおられると思いますので、それを抜粋して以下に書いておきます。

[その1]
  西洋人も他の東洋人も、動物や虫の鳴き声を意味のない機械音として左脳で反応しますが、日本人だけがそれを単なる音としてではなく、意味を感じる右脳で反応します。
[その2]
  西洋人も他の東洋人も、母音(あ、い、う、え、お、の音)を意味のない音として左脳で反応しますが、どういう訳か、日本人だけが右脳で反応します。

 不思議なお話NO29では、この脳の特殊な働きの源を、僕なりの仮説を展開して説明しましたが、それが当たっているかどうかはともかく、この二つの独特な脳の働きを知れば、やはり日本人って特殊なんだと、皆様も納得されるのではないかと思います。
 では、この脳の特殊性がこれまでの日本の歴史においてどう発揮されてきたかといえば、それは右脳が感性を司るのですから、日本の伝統文化に多くの影響を与えてきたことは間違いありません。でも残念ながら、僕にはそうした日本の伝統文化についての蘊蓄を披露するほどの知識は持ち合わせておりませんが、ただ唯一、僕の語れる日本の伝統文化を思い浮かべてみると、その本質だけは何となく分かる気がするのです。
 その本質とは、「表に現れるのは、緻密さと厳粛さ、そして合理性、その裏に隠されているのは対象にのめり込む集中力、そして血?DNA?或いは脳に刻まれた知識と経験、それらが一体となって創造される全て」だと思うのです。

 実は、僕は日本刀の美しさに惹かれます。博物館に展示されるガラスケースに納められた日本刀を前にすると、しばしば金縛りにあったようにその場から動けなくなります。あらゆる方向から眺めて飽きることがなく、その美しさを堪能するのです。いつしか、刀鍛冶にも興味を抱くようになり、その映像をユーチューブで探しては眺めるようになりました。そうです、暇なときぼーっとの鎚(つち)の響きを聞きながら眺めているのです。
 そのオレンジ色に輝く玉鋼を鎚で打ち、半分に折っては打ち、折っては打つことをくり返し、不純物を取り除くと同時に、何万という皮膜のような層を形作るのだそうです。これをUの字型に折り曲げ(この皮鉄は炭素量の多い良質な鋼)、その溝に別に鍛えた芯鉄(背筋の役割を持つ硬い鋼)を挟み、再び鍛えます。勿論この重ね合わせ方法にはいくつか種類があるようです。そして、ためつすがめつ勘を頼りに鍛えてゆきます。その姿はまるで鉄という物質に働きかけ、魂を注入しているように僕には見えるのです。
 人類が持ちえた最高の切れ味と強靭さをもった刀剣が日本刀です。明治以来、日本から持ち出された日本刀は数限りなくあり、研究と実験に供せられましたが世界の科学技術をもってしても、日本刀に勝る刃物を作り出し得なかったのです。唯一ドイツ、ゾーリンゲンの剃刀がこれに近いと言えます。
 日本では紀元前3〜4世紀に朝鮮経由で鉄器が入ってきたとされ、たたら製鉄の開始は紀元後6世紀というのが定説です。しかし、近年の各地で弥生時代の製鉄址跡が発見され、鉄を精錬した時の不純物である鉄滓の規模から、その開始はもっと古い時代に遡る可能性がでてきました。
 それがどのくらい遡るのかは議論の分かれるところではありますが、僕は日本人は、製鉄技術と深い関わりがある民族だと思っています。或いはそうした技術を持った人々が日本に流入して日本人を形作ったと思っているのです。種子島の鉄砲伝来は1543年ですが、その30年後にはその当時世界最大の生産量を誇る国になっていたという事実がそれを物語っています。連綿と続く製鉄の民の歴史と広がり、そして刀鍛冶の匠の知識と技術がこれを可能にしたのです。
 
 さて、先に日本人の特殊な脳の働きは日本の伝統文化に大きく影響を与えてきたと述べ、僕なりにその本質を「表に現れるのは、緻密さと厳粛さ、そして合理性、その裏に隠されているのは対象にのめり込む集中力、そして血?DNA?或いは脳に刻まれた知識と経験、それらが一体となって創造される全て」と表現しましたが、何もそれは伝統文化に限らず日本人の本質にも深く根を張っているのではないかと思うことがあります。例えば、世界の若者を虜にした宮崎駿監督のアニメーション映画があげられます。
 実は昨日、宮崎駿の引退のテレビニュースを見ていて、実に興味深いシーンに出会いました。宮崎駿を取材したディレクターが紹介した映像です。その中で、宮崎駿監督は主人公が倒れるシーンを描くのですが、納得する絵がなかなか描けません。何度も描き直しては捨て、描き直しては捨てを繰り返します。ディレクターに言わせるとそれが数時間続いたと言います。最後に分厚い原稿をぱらぱらと動かして主人公の動きを確認すると、満面に笑顔を浮かべたのです。
 そのシーンを見て、僕はつくづくと日本人気質というものに感じ入ったのです。日本人の本質を見る思いでした。そういえば、アニメと言えばつい浮世絵を思い出してしまいましたが、その浮世絵がヨーロッパに紹介され、それを見た多くの印象派の画家達に衝撃を与えたと言います。ゴッホはその模写まで残しているんですね。僕たち日本人はもっと日本文化を知り、そして楽しむ心を持つとともに、それを誇りにしてもいいような気がします。

 今回は、これまで、僕の思考実験やら妄想やらに辟易している方々を意識して、ごくごく常識的な文章を心掛けました。如何でしたでしょうか?僕としては物足りない気がしているのですが…。


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