普通のお話No2 妻へ   
         
 

 

いつも思い出すシーンがある。

 

君が角をまがりこちらに歩いてくるのを見て、僕は道から少し離れた材木

置き場の丸太
に登って待つことにした。

 

その日、君は妊娠したかもしれないと近くの産婦人科へでかけ、僕は気に

なって迎えに
きたのだ。

 

 

君が近付いてくる。少し俯いて歩いてくる。ふと見ると、君は時折大きく

肩を震わせて
いた。僕は不安になってじっと見詰める。でも、君は僕に気付

かない。

 

そして目の前を通り過ぎてゆく。君はしゃくりあげていた。嬉しそうに、

涙も拭かず、
まるで子供のように。

 

いとおしいという言葉が心に浮かんだ。もう30年も前のことだ。

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